NAFTAでのキモヲタのソナタ
さて、グラミー賞の舞台としても使われるロスのコンヴェンション・センターで、移民の帰化セレモニーがありました。やく1万8千人の新しい連邦市民が誕生したのです。これにより、1万8千の新しい選挙人がアメリカに出て来たということになります。私は、オバマキャンペーンの一環で、コンヴェンションに行きました。新市民を選挙に登録させるという運動です。そのボランティアに参加してきました。
それにしてもスゴい熱気でした。まさに色々な困難を通過してやっと市民になれたわけですから、歓喜の声、また感動の涙など様々でした。新移民のほとんどは、やはりヒスパニックでしたね。

オバマキャンペーンは見つかりにくかったですが、ちょうどセンターの玄関にオバマキャンペーンがありました。オバマのプラカードを持った若い娘がいて、そこにはオバマのポスターがあり、オバマのTシャツを着たヴォランティアがたくさんいました。そこには、テーブルがあって、ヴォランティアの人たちが選挙登録用紙を用意して、新市民のセレモニーが終わるのを、待ってました。で、新市民が会場から出て来たときに、みんなで声をかけて、登録してもらうというものです。

で、これはオバマキャンペーンというより、民主党がオルガナイズしたものでした。だから、みんな民主党員でした。私がこの前行ったオバマイベントは無党派が多かったんですが、今回は、生粋の民主党員でした。選挙登録用紙に政党の選択の欄がありますが、
「私たちとしては、ぜひとも民主党に選択してもらいたい」
とイベントマネージャーに指示を受けました。私は、
「いや、でも、他の政党を選んだらどうするの?」
とききました。すると、
「まぁ、その場合は仕方ないが、できるだけ民主党に印をつけてもらうよう誘導してくれ」
と彼女は言いました。オバマイベントというより、民主党のイベントでしたね。いやぁ、私は民主党ではありませんから、しかも私自身、選挙に登録したときは、無党派にしたので、どこの政党にも属してません。しかし、この雰囲気、周りの人間がすべて民主党というのも、結構プレッシャーがありますね。オバマのいいところは、党派を超えて、私たちのような無党派層にアピールする力があるということです。だから、私が無党派であることを言うかどうか迷いました。でも、それで場がしらけてしまうかもしれませんので、言わないことにしました。多くの人々が無党派なのは、政党政治に幻滅しているからです。二大政党システムに大きな疑問を持っている人たちなのです。だから、無党派を名乗ることは、民主党を否定することなので、民主党の話題を避けました。

しかし、民主党の集団では、まず話すことは民主党の話題ですし、民主党の絶賛話です。それに彼らの団結力はスゴい。野球チームのファンよりも熱意があります。やっぱり一番政治で影響力があるのは政党ですね。政治家になるには、政党に属するのが一番大衆の支持を取り付けるのが速いんです。オバマも民主党員ですから。

で、一人の良い背広を着た背の高い年輩の紳士が笑顔で私に握手を求めてきました。彼は、
「よく来てくれました、君のその勇気ある行動に感謝します!」
と私のヴォランティア精神を讃えてくれました。いやぁ、でも、この人はとてもフレンドリーな人で、初対面なのにまるで以前にも友人だったかのごとく話してきました。で、私がどういう経緯でオバマ支持になったのか尋ねてきました。私は、いろいろな理由を話しました。で、ついつい、
「私はどこの政党も支持してないですけど、オバマは支持してます」
と自分が無党派層であることを言ってしまいました。あぁ、フロイディアン・スリップ、口を滑らせてしまった。気付いたときには、時既に遅し。オバマが素晴らしいということを強調したいがために、政党に不信を持ってることを言ってしまったのです。それは、まるでクリスチャンの集まりでキリストは尊敬するけど、キリスト教は信じないと言ってるようなものです。でも、彼はじっど私の話すことに耳を傾けて、笑顔で頷いてました。まぁ、でも私だけが話すのもなんだから、彼にも同じ質問をしました。
「ヒラリーではなくて、オバマに支持したのは、どうしてですか?」
彼は簡潔に、
「ヒラリーはワシントンにずっといて、エスタブリッシュメント(体制)側にいた人なので、やはり体制を変革するには、新鮮なオバマでしかない。彼は、この急激に変化する世の中ではなくてはならない指導者です。情報、テクノロジー、経済、社会は急激に変化してきてるんですが、政治だけがその時代の波に取り残されているのです。だからこそ、その時代にあった新しい指導者がオバマだと確信してます」
と力強く言いました。で、彼は、私にビジネスカードを渡してきました。カードを見ると、セリット市の市議会議員と書いてありました。
「あぁ、政治家なんだ!」
と思いました。で、彼は
「11月の勝利のために一緒にがんばりましょう」
と握手してきました。議員までも参加しているというのは大規模なイベントだと思いました。

で、イベントマネージャーは、ラテン系の20代の若い娘で、リーダーシップがあって私たちに指示を出しました。彼女は、私に興味があるようで、色々なことを質問してきました。どうしてオバマ支持になったのかとか、私のバックグラウンドとか。まぁ、私だけでなく、ヴォランティアに参加した人すべてに、彼女はそう対応してたんですけどね。特別扱いじゃなかっというのが残念・・、って、まぁ異性を口説いてるわけじゃないですからねぇ。でも、女の子にあんなに質問されたのは、南米旅行以来だったので、とても嬉しかったのです。どうしても、彼女を異性として意識しちゃうんで〜す。20代は肉体的に女性のもっとも輝いてるときですからね。で、
「この娘は、私の話を聞いてくれる。じゃ、この娘のためにがんばらなきゃ」
と思いました。だって、私が話すときに、生き生きとした笑顔で、ほんと興味を持ってくれてるように聞いてくれるんです。だって、私にとってもっとも大切なのはオバマの勝利ですから、自分が人生でもっとも価値があるものを承認してくれる、そして相手も同じでイベントマネージャーを務めてるぐらいだから、私よりも全人生をオバマの勝利に捧げてるわけですから、価値観が共有できます。まぁ、彼女の場合はオバマの勝利=民主党の勝利という図式になるわけですが、それでも価値観を共有できるというのは、嬉しいです。で、私も彼女にききました。
「イベントのオルガナイザーとしては、どれぐらい経つんですか?」
「あたしは、実はまだ始めたばっかで、まだ半年も経ってないのよ」
「ええ!そうなんですか?もう長いのかと思ったんですよ」
やはりリーダーシップというのは、才能ですね。彼女の美貌は、まぁ、特別ということもなく普通でしたが、でも、やっぱ態度と性格ですね、人は。それに、
「このイベントを楽しもうよ」
というのも良かったですね。政治って、どうしても重い雰囲気があるんですけど、若い女の子が、こうやって、「運動を楽しもうぜ!」という心掛けもとても良かったですね。
「Let's make our day!」
って感じで。で、彼女は、その後、民主党の色々なイベントに誘ってきましたが、私は時間がないことを告げました。オバマのイベントならいいんですが、民主党は支持してませんからね。まぁ、でも、それは言わないで、スケジュールの都合がつかないという理由で丁寧に断りました。



いやぁ、でもヴォランティアは女性が圧倒的に多かったですね。やはり民主党は女性の政党だけあって、ヒラリーが出て来ただけあります。そのなかには80歳以上の老婆もいました。彼女は、
「私は15歳のときに民主党員になって、もう60年にもなる。家族のなかでは私がはじめて民主党員となり、私の両親、兄弟をすべて民主党に登録させた」
と言っていました。
「でも、18歳以下は、政党に入れないのでは」
と言うと、
「Come on, 60年前は、そんなルールはなかったんだよ」
と言いました。その後、彼女はずっと20分ぐらい自分の60年間の民主党に貢献してきたことを話しました。まぁ、彼女と話すと日が暮れてしまいそうなので、話を切り上げました。大変貴重な話でしたが、せっかく色々な人が来ているわけだし、色んな人たちと話したほうがいいと思いました。

で、学生も沢山いて、彼らとは、やはりオバマの若い力への期待というので共鳴しました。一人の学生は、こんなことを言ってました。
「マッケインなんかジジイだぜ。あいつがなんであんな老人にもなって一国の指導者になろうとするのかまったく理解できない。いつ死ぬかわからないじゃねえか。オレたち若者には、まったくコネクトするところがないじゃん。だって、あいつは自分でネットで検索さえできないし、メールも打てないんだよ。全部、あいつの妻がやってあげてるんじゃねえか?自分のブラックベリーでさえ妻に管理させてるなんて、ほんとありえないよ。この21世紀にもなってメール一つも自分で打てないというのは、ほんと理解に苦しむよ。だって、あんだけ頭のいい軍人が、メールすらも打てないなんて、ありえない。だってあいつパイロットだったんだぜ。戦闘機のような複雑なシステムを操縦してたぐらいだからテクノロジーはめちゃめちゃ得意なはずじゃん。それがメールさえ打てないなんて、どうかしてるよ。猿にだってメールぐらいは打てる。ブッシュでさえコンピューターサビーなんだぜ。マッケインは、ブッシュよりも駄目ってことだよ。あいつは、ぜんぶ自分の年齢を言い訳にして新しいものを習うのを拒絶してるんだよ。つまり新しいものを習う意志がないんだよ。やる気がないんだよ。あいつは、自分で変革を止めてるんだよ。この変化の激しい時代に自分を合わせられないなんて、もう政治家にも向いてないんじゃないかなぁ?ほんとマッケインのような新しいことに自分を適応させる気のないメンタリティーを持った人が大統領になるのは、言語道断でしょう。そういうやる気のない老人は、さっさとワシントンから消え去るべきだよ。だから、オバマじゃなきゃ駄目なんだよ。オバマは若いし、フレッシュだし、自分たちと同じ道を通過してるし、オレたちに完璧にコネクトしてるよなぁ」
私は爆笑しながら、彼の意見に賛同しました。若者にそれまでコネクトする政治家がいなかったんですね。でも、オバマという指導者は、マイノリティーだし、多文化だし、今のアメリカの若い世代が理想とする人ですからね。郊外の白人の若い世代は、マイノリティー文化にとても憧れてますから、それに未来のアメリカ人は白人も黒人もアジア人もすべての人種がミックスしてオリーブ色の肌になるというビジョンを持ってますからね。つまり、ブラジル人のような、多文化人になるんです。それがオバマなんです。

で、色んな人と握手して会話してるなかで、UCLAの教授もヴォランティアとして参加してました。彼は、白髪まじりのハゲで、知的なメガネをかけた感じのいいおじさんでした。
「おぉ、大学教授も」
と思いました。彼は、私に、
「君ははじめっからオバマ支持だったのかね?」
と尋ねてきました。
「いいえ、私はもともとはクシニッチ支持だったんですが、ご存知の通り、スーパー火曜日の前に、クシニッチは予備選挙を辞退してしまったので、投票できませんでした」
彼は、
「ほぉ、クシニッチか?彼はいつも素晴らしい政策を提案するからね。そういえば、彼がUCLAにキャンペーンしにきたのを覚えているよ。たしか、クシニッチは自分のキャンペーンのバスでUCLAに来たんだが、彼の周りにはボディーガードはなく、丸腰でバスから降りて来たんだよ。しかも、人がぜんぜん集まらなかったし、とても見てて悲しかったよ。オバマだったら、もうすごいスタッフとボディーガードをつけていて、しかも、キャンパスは満員になるんだけど、クシニッチの場合は、スタッフも少ないし、ボディーガードもないし、しかも学生がそんなに集まらなかったのが痛々しかったね」
と言いました。
「へぇ、そうなんですか?だってUCLAってアメリカのなかでも、きってのリベラルなキャンパスとして有名なのに、それでも民主党ではもっともリベラルなクシニッチのイベントに人が集まらなかったんですか?」
「集まらなかったねぇ。リベラルなキャンパスでも、それだけ人が集まらなかったってことは、やはり辞退せざるを得なかったんだろうね。今回の選挙は、とにかく最初っからオバマとヒラリーで盛り上がってしまって、クシニッチの入る余地はまったくなかったからね」
なるほど、もっともリベラルな大学のキャンパスでさえクシニッチのレセプションはそうだったんですね。とても残念です。変革の力はすべてオバマに集結したんですね。そうですね、オバマは、若いですし、またオバマは精神的政治的な新しいアメリカの預言者としても承認されてますからね。こちらの記事でも、こう言ってますね:
In listening to him speak, you can easily imagine Obama as a new world prophet forecasting a spiritual and political awakening.
彼の演説を聞くと、オバマが精神的そして政治的な覚醒を予兆する新しい世界の預言者だということが容易に想像できよう。

オバマの運動はアメリカの新たなグレート・アウェイクニングになると言われてますからね。

***


さて、セレモニーが終わって、6000人もの新市民がぞろぞろと出てきました。私もオバマ08のバッチをつけて、用意しました。すごい人人人で、テーブルは新市民で埋め尽くされ、忙しかったです。次から次ヘと選挙に登録していきました。で、セレモニーが終わってだいたい2時間ぐらいで、人はいなくなりました。で、登録作業も終わったんで、私は、またヴォランティアの人たちと会話しました。

***


また、ヴォランティアで10代前半の娘を連れて来ている母親もいました。彼女は、群青色のオバマTシャツを誇らしげに着ていました。この母親は、多分30代後半か40代前半だと思われますが、また、化粧が濃いので、よくわかりませんでした。でも、褐色の肌で、ツヤツヤした長い黒髪で、ラテン系だと思いました。でも、ラテン系でも、南米のような腰のくびれはなかったですし、背も低かったです。体全体としては痩せてますが、お腹がちょっと出ている。まぁ、健康にはかわらないですが、さすがに40代になると、お腹とお尻がドテッとしてくるのは、しょうがないです。老化ですから。ちゃんとエクササイズはしてる体ですし、とても健康的ですが、そこはやっぱコントロールできないですね。でも、70%が体重オーバーといわれるアメリカ人のなかでは、素晴らしいですよ。容姿は、綺麗なほうでしたよ。まぁ、20代のときは、めちゃくちゃモテたのではないでしょうか?まぁ、今はどこにでもいる普通のおばさんでしたけどね。でも、娘は・・・、悲しいことに太ってましたね。母親よりも背が高いのはいいんですが、かなり体重オーバーしてました。アメリカ病にかかってしまったのが、とても痛々しかったです。子供が健康体でないというのは、残念です。まっ、今はカリスマ性があってカッコいいオバマでも子供のときは太ってたので、大人になったら娘さんもシェイプアップして綺麗になるかもしれませんね。

それはさておき、で、この母親も、私に興味をもったのか、話しかけてきました。でも、彼女はなにを思ったのか、すごい至近距離で話しかけて来たんで、
なんなんだ、この人は!
と思いましたよ。いやぁ、だってあれは恋人の距離じゃないですか。こちらの図でもわかる通り(『恋愛心理学』p121より)。
HumanSpace.jpg

ちょっと頭が真っ白になったんで、どうしてオバマ支持になったのかという質問にちゃんと答えることができませんでした。自分の言っていることがわからない、支離滅裂になってしまったんです。で、彼女は、私がバイリンガルであることを把握したようで、多分、私の文法がメチャクチャになったのを、
「ああ、ちゃんと自分を表現できないのは、彼にとって英語はセカンドラングエージだから」
と思ったんでしょうね。いや、私は言語の複雑さに立ち往生したんじゃなくて、彼女のその至近距離の会話の前に立ち往生しちゃったんです。さっきまでちゃんと会話してたんですから。でも、正気を取り戻すために、間合いを取ったら、彼女を嫌がってるというように勘違いされかねない。だから、距離はそのままにしました。だって、キスできる距離ですよ〜。頭が混乱するに決まってるじゃないですか!まさか、彼女のその距離の詰め方に私が動揺してるとは想像もできなかったんでしょうね。だから、彼女は何事もなかったかのように自然に話してましたよ。
「バイリンガルって素晴らしいですよね。あたしもバイリンガルになりたかったんですよ。でも、あたしの母親は、まったくスペイン語を教えてくれませんでしたから、とても後悔してます」
「そうなんですか?母親はどこ出身なんですか?」
「あたしの母は、メキシコ出身で、15のときにアメリカに移民してきました。あたしの父親もメキシカンですけど、父はアメリカで生まれ育ったので、アメリカ人ですね。だから、あたしはメキシカン・アメリカンなんだけど、今のメキシカン・アメリカンとは違って、スペイン語は話せないわ」
「へぇ、どうしてまた母はスペイン語を教えなかったんですか?」
「あたしが生まれたときのアメリカは、まだ多文化主義を抱き込んでなかったから、あたしを徹底的にアメリカ人として育てるためにスペイン語を教えなかったんです。でも、今のアメリカはやっと多文化主義を抱擁するようになって、メキシカン・アメリカンはスペイン語を話せるのが当たり前ですからね」
「そういえば、オバマも言ってましたよね。『アメリカの子供たちにちゃんとスペイン語を話せるように教育しなきゃいけない』って」
「そう、スペイン語だけじゃなくて、とにかく他の言語を話せるように教育しないといけないという彼のスタンスに賛成ですね」
「それにオバマは、人種的にも交じってるし、マイノリティーにとっては力強いですよね」
「そう、彼は世界のどこにでもいるような感じですからね。だって、オバマの妹はあなたと同じアジア系ですもんね」
「そうそう!オバマにはインドネシア人の妹がいますもんね。だって、オバマは親戚の集まりのときは、小さな国連だって言ってますからね」
「そう、そうですよね。オバマも、インドネシア語を話せるし、素晴らしいですよね。それに、今の時代、他言語を話せなかったらビジネスとかできないですからね。あたしも前働いていたところで、やっぱバイリンガルな人が強かったですからね」
「へぇ、そうなんですか?私も最近、本格的にスペイン語のクラスを取って勉強しようかぁと思ってるんです」
「そうなんですか?あたしは、今はキャリアチェンジの真っ最中で、オンラインでクラスを取ってるんですよ。オンラインだと、スケジュールをわざわざ変更しなくとも、勉強できるし、それに交通渋滞と関わることもないし。また、大学も20代だったらいいけど、あたしは20代じゃないし、オンラインのほうが安心して勉強できる環境だわ」
「あぁ、なるほど、そうですね、たしかにキャンパスのパーキングを探すだけでも、時間と労力を無駄にしてますからね」
いやぁ、でも、彼女はとんとん拍子で会話をしますね。で、私は、どうしてオバマ支持になったのか、彼女に尋ねました。
「やはりワシントンに変化を求めてるからです。とにかくブッシュの最初の年からもう駄目でしたね。イラク戦争は、嘘によって始められたし、あれほど嘘がまかり通った政権はなかったと思います。それにブッシュによって、アメリカは世界からとことん嫌われてしまったし。国際的信用を失ってしまったんです」
「あぁ、そうなんですか?」
「そうですよ!これほどまでに、世界から嫌われたことってありますか?やはりオバマに変わらない限り、国際関係は修復できないと思いますよ」
「そうですよね。オバマは、彼自身が世界的人間だから、世界の信頼を取り戻せるんじゃないでしょうか?」
いやぁ、でも情熱を持って語る彼女の目は、綺麗でした。しかも、かなりの至近距離だったので、彼女がコンタクトをしてることさえわかりました。それにしても、彼女の瞳は大きいんですね。コンタクトレンズも大きいですからね、かわいく見えます。って、何を言ってるんだ、私は。相手はおばさんじゃないか。で、至近距離だと、化粧もわかりますが、口紅がダークな赤紫的なもので、でも、それが褐色の肌にピッタリと合うんですね。唇にも見とれちゃって、「はっ!」と我に返りました。ようやく正気を戻したときに、彼女は、
「国民皆保険もほんとアメリカ国民には必要ですよ」
と言いました。
「たしかに、それは私も大賛成ですよ。だって、4千3百万人のアメリカ人が医療保険がないんですよ。それはどう考えてもおかしいですよ」
「そう、それに、先進国のなかで唯一ユニバーサルな国民医療保険がないのは、おかしいですよ」
「ほんと、世界でもっとも豊な国なのに、ユニバーサルな医療保険がないのは、間違ってますよね」
でも、会話しているうちに、私の感情はいつの間にか変なふうになっていきました。なにか摩訶不思議でミステリアスな。こんなに女性と会話がはずんだのは久しぶりでした。やばい、なんか彼女がとてつもなく魅力的に感じてきたんです。この感情、まるで、異性に対するアタッチメントを求めるような感情、そう、これは恋だ!私は、この感情を悟った瞬間、怖くなりました。恐ろしくなったんです。子持ちの人妻女性、そんなのに恋をしたら破滅するからです。若きヴェルテルのように最後は自殺してしまいます。私も既婚女性に恋をして死にそうになった経験があるので、だから、恐怖心が私を覆いました。よって私は、反射的に彼女との距離を取りました。で、携帯の時計を見ながら、
「あのー、もうそろそろ私は行かないと。あなたとお話できて、とても楽しかったです」
距離を取っての彼女の姿も、また魅力的に見えてしまいました。その時、自分の顔が熱くなってるのがわかりました。彼女も、
「こちらこそ。こんど、来週の土曜日にカンプトンでオバマのオフィスのオープニングセレモニーがあるんで、もしよかったら、そこで会いましょう」
と笑顔で言いました。
「あぁはは、じゃぁ、そのとき、また」
と簡単に承諾して握手してしまいました。いやぁ、すべすべしてましたね。とても40代とは思えない手の柔らかさ。「おばさん」というカテゴリーに彼女は当てはまりませんね。で、私は、逃げるようにして、イベントマネージャーに挨拶して、コンベンションセンターを後にしました。

車に乗った後も、あのメキシカン・アメリカン女性のことが忘れられません。だって、あんな至近距離で、しかもフレンドリーに話されたら、やっぱり魅了されてしまいますよ。うっとりせずにはいられない。彼女は民主党員ですけど、それでもメインストリームの民主党よりもリベラルですからね。それに政治的立場はまったく同じだし、価値観も共有しているし、類似度もすごく高いし、まぁ、最初っから話題の共通性があったとうのもありますが、それで親近感がはじめっからあってあんだけ至近距離で話して来たのかもしれませんね。あの距離を詰められたことで、クラって来ましたね。それで思考回路が停止しちゃった・・。でも、やっぱり一番惚れそうになったところは、熱意を持って私と会話してくれたところ、それが一番良かったですね。なんか自分が承認されたようで、自信がつきます。でも、まさか好きにはならないだろうと思う女性を好きになるなんて・・。私は、ほんと恋に落ちやすい体質なんでしょうか?きっとロマンチストなんでしょう。スティービー・ワンダーもそうですね。キモヲタもロマンチストなんですよ。

***


いやぁ、でも民主党のイベントに参加して感じたことは、党員だと情報にアクセスできるということですね。それだけ、細かい情報まで伝わっているんです。やっぱり無党派では、政治的情報は来ないですもん。やっぱり政党に属して得するのは、その情報力にアクセスできるからです。よく細かいところまで、色々なことを知ってますよ、党員は。まぁ、でも、選挙を決定するのは、党員ではなくて、無党派層ですからね。日本では、小泉純一郎のブレーンはそのような選挙人を「B層」と見下していましたが、アメリカでは、オバマは私たちの語ることを聞いてくれますね。だって、オバマをサポートする民主党員たちは、私にどうしてオバマ支持になったかという理由を尋ねて来たんですから。やっぱ政治は一般市民の言うことを聞かなければ、デモクラシーではないでしょう。今まで政治は私たちの声にまったく耳を傾けて来なかったんですから。

たまに、私たちに向かって暴言を吐く通り魔もいましたね。
「オレはヒラリーに投票したんだ。オバマなんかクソ食らえだ!」
と私たちを罵る人もいました。まぁ、私もヒラリーを応援してたんで、彼らの気持ちは痛いほどわかりますよ。彼女に投票はしませんでしたが、ジェンダーのガラスの天井を打ち砕く力を応援してたんです。それにカリフォルニアはヒスパニックが多いですし、ヒスパニックはヒラリー支持が多かったですし、カリフォルニアでは、ヒラリーが勝利したわけですし。でも、民主党の予備選挙でオバマが勝利したわけだし、今回はヒラリーが大統領に成るチャンスはなくなったわけですから、私も現実的にオバマを応援してるんです。それ以来、私は、三次元の改革をすべてオバマに託したわけです。

で、このセレモニーは、ウィリー・コロンとルーベン・ブレイズの『ペドロ・ナバハ』の「I like to live in America 」というフレーズを思い起こさせました。その曲を車のなかで聴きながら110番を運転して帰宅しました。そして、サルサの音楽に合わせてリズムを取り、彼女のことを想像してました。いやぁ、危機一髪でしたよ。あれだけ性格がよくて、フレンドリーで、情熱を持っていて、綺麗で、ラテンで、あぁ、危ない危ない。破滅を回避してよかったです。

ペドロ・ナバハは、ニューヨークのチンピラかヤクザで、道端で歩いてる娼婦をターゲットにして金をひったくろうしてナイフで襲います。で、娼婦は拳銃で防衛しますが、ナイフが急所を刺してしまいます。で、ペドロも銃弾をあびて、道端に倒れます。そして、両者とも道端に倒れ、死んでしまいます。で、酔っぱらいのホームレスに死体として発見され、お金とナイフと拳銃をかっさらっていきます。で、ホームレスは酔いながら、「人生とは驚きの連続だ、神よ」と音痴ながら歌います。とても壮絶な歌詞の内容です。そんなニューヨーク社会にヒスパニックはみんな移民してきたんです。サルサ音楽というのは、そういうのが日常なところで生まれたんですね。

でも、オバマはなんとか変えてくれるでしょう。彼はシカゴで、貧困層の救済活動をずっとやってきたんですから。私も選挙登録活動に協力することによって、この小さなコミュニティー活動への奉仕によって、なんとか社会が良い方向に変わってくれればいいです。そしてその変革のシンボルがオバマであらんことを。


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それにしてもスゴい熱気でした。まさに色々な困難を通過してやっと市民になれたわけですから、歓喜の声、また感動の涙など様々でした。新移民のほとんどは、やはりヒスパニックでしたね。

オバマキャンペーンは見つかりにくかったですが、ちょうどセンターの玄関にオバマキャンペーンがありました。オバマのプラカードを持った若い娘がいて、そこにはオバマのポスターがあり、オバマのTシャツを着たヴォランティアがたくさんいました。そこには、テーブルがあって、ヴォランティアの人たちが選挙登録用紙を用意して、新市民のセレモニーが終わるのを、待ってました。で、新市民が会場から出て来たときに、みんなで声をかけて、登録してもらうというものです。

で、これはオバマキャンペーンというより、民主党がオルガナイズしたものでした。だから、みんな民主党員でした。私がこの前行ったオバマイベントは無党派が多かったんですが、今回は、生粋の民主党員でした。選挙登録用紙に政党の選択の欄がありますが、
「私たちとしては、ぜひとも民主党に選択してもらいたい」
とイベントマネージャーに指示を受けました。私は、
「いや、でも、他の政党を選んだらどうするの?」
とききました。すると、
「まぁ、その場合は仕方ないが、できるだけ民主党に印をつけてもらうよう誘導してくれ」
と彼女は言いました。オバマイベントというより、民主党のイベントでしたね。いやぁ、私は民主党ではありませんから、しかも私自身、選挙に登録したときは、無党派にしたので、どこの政党にも属してません。しかし、この雰囲気、周りの人間がすべて民主党というのも、結構プレッシャーがありますね。オバマのいいところは、党派を超えて、私たちのような無党派層にアピールする力があるということです。だから、私が無党派であることを言うかどうか迷いました。でも、それで場がしらけてしまうかもしれませんので、言わないことにしました。多くの人々が無党派なのは、政党政治に幻滅しているからです。二大政党システムに大きな疑問を持っている人たちなのです。だから、無党派を名乗ることは、民主党を否定することなので、民主党の話題を避けました。

しかし、民主党の集団では、まず話すことは民主党の話題ですし、民主党の絶賛話です。それに彼らの団結力はスゴい。野球チームのファンよりも熱意があります。やっぱり一番政治で影響力があるのは政党ですね。政治家になるには、政党に属するのが一番大衆の支持を取り付けるのが速いんです。オバマも民主党員ですから。

で、一人の良い背広を着た背の高い年輩の紳士が笑顔で私に握手を求めてきました。彼は、
「よく来てくれました、君のその勇気ある行動に感謝します!」
と私のヴォランティア精神を讃えてくれました。いやぁ、でも、この人はとてもフレンドリーな人で、初対面なのにまるで以前にも友人だったかのごとく話してきました。で、私がどういう経緯でオバマ支持になったのか尋ねてきました。私は、いろいろな理由を話しました。で、ついつい、
「私はどこの政党も支持してないですけど、オバマは支持してます」
と自分が無党派層であることを言ってしまいました。あぁ、フロイディアン・スリップ、口を滑らせてしまった。気付いたときには、時既に遅し。オバマが素晴らしいということを強調したいがために、政党に不信を持ってることを言ってしまったのです。それは、まるでクリスチャンの集まりでキリストは尊敬するけど、キリスト教は信じないと言ってるようなものです。でも、彼はじっど私の話すことに耳を傾けて、笑顔で頷いてました。まぁ、でも私だけが話すのもなんだから、彼にも同じ質問をしました。
「ヒラリーではなくて、オバマに支持したのは、どうしてですか?」
彼は簡潔に、
「ヒラリーはワシントンにずっといて、エスタブリッシュメント(体制)側にいた人なので、やはり体制を変革するには、新鮮なオバマでしかない。彼は、この急激に変化する世の中ではなくてはならない指導者です。情報、テクノロジー、経済、社会は急激に変化してきてるんですが、政治だけがその時代の波に取り残されているのです。だからこそ、その時代にあった新しい指導者がオバマだと確信してます」
と力強く言いました。で、彼は、私にビジネスカードを渡してきました。カードを見ると、セリット市の市議会議員と書いてありました。
「あぁ、政治家なんだ!」
と思いました。で、彼は
「11月の勝利のために一緒にがんばりましょう」
と握手してきました。議員までも参加しているというのは大規模なイベントだと思いました。

で、イベントマネージャーは、ラテン系の20代の若い娘で、リーダーシップがあって私たちに指示を出しました。彼女は、私に興味があるようで、色々なことを質問してきました。どうしてオバマ支持になったのかとか、私のバックグラウンドとか。まぁ、私だけでなく、ヴォランティアに参加した人すべてに、彼女はそう対応してたんですけどね。特別扱いじゃなかっというのが残念・・、って、まぁ異性を口説いてるわけじゃないですからねぇ。でも、女の子にあんなに質問されたのは、南米旅行以来だったので、とても嬉しかったのです。どうしても、彼女を異性として意識しちゃうんで〜す。20代は肉体的に女性のもっとも輝いてるときですからね。で、
「この娘は、私の話を聞いてくれる。じゃ、この娘のためにがんばらなきゃ」
と思いました。だって、私が話すときに、生き生きとした笑顔で、ほんと興味を持ってくれてるように聞いてくれるんです。だって、私にとってもっとも大切なのはオバマの勝利ですから、自分が人生でもっとも価値があるものを承認してくれる、そして相手も同じでイベントマネージャーを務めてるぐらいだから、私よりも全人生をオバマの勝利に捧げてるわけですから、価値観が共有できます。まぁ、彼女の場合はオバマの勝利=民主党の勝利という図式になるわけですが、それでも価値観を共有できるというのは、嬉しいです。で、私も彼女にききました。
「イベントのオルガナイザーとしては、どれぐらい経つんですか?」
「あたしは、実はまだ始めたばっかで、まだ半年も経ってないのよ」
「ええ!そうなんですか?もう長いのかと思ったんですよ」
やはりリーダーシップというのは、才能ですね。彼女の美貌は、まぁ、特別ということもなく普通でしたが、でも、やっぱ態度と性格ですね、人は。それに、
「このイベントを楽しもうよ」
というのも良かったですね。政治って、どうしても重い雰囲気があるんですけど、若い女の子が、こうやって、「運動を楽しもうぜ!」という心掛けもとても良かったですね。
「Let's make our day!」
って感じで。で、彼女は、その後、民主党の色々なイベントに誘ってきましたが、私は時間がないことを告げました。オバマのイベントならいいんですが、民主党は支持してませんからね。まぁ、でも、それは言わないで、スケジュールの都合がつかないという理由で丁寧に断りました。



いやぁ、でもヴォランティアは女性が圧倒的に多かったですね。やはり民主党は女性の政党だけあって、ヒラリーが出て来ただけあります。そのなかには80歳以上の老婆もいました。彼女は、
「私は15歳のときに民主党員になって、もう60年にもなる。家族のなかでは私がはじめて民主党員となり、私の両親、兄弟をすべて民主党に登録させた」
と言っていました。
「でも、18歳以下は、政党に入れないのでは」
と言うと、
「Come on, 60年前は、そんなルールはなかったんだよ」
と言いました。その後、彼女はずっと20分ぐらい自分の60年間の民主党に貢献してきたことを話しました。まぁ、彼女と話すと日が暮れてしまいそうなので、話を切り上げました。大変貴重な話でしたが、せっかく色々な人が来ているわけだし、色んな人たちと話したほうがいいと思いました。

で、学生も沢山いて、彼らとは、やはりオバマの若い力への期待というので共鳴しました。一人の学生は、こんなことを言ってました。
「マッケインなんかジジイだぜ。あいつがなんであんな老人にもなって一国の指導者になろうとするのかまったく理解できない。いつ死ぬかわからないじゃねえか。オレたち若者には、まったくコネクトするところがないじゃん。だって、あいつは自分でネットで検索さえできないし、メールも打てないんだよ。全部、あいつの妻がやってあげてるんじゃねえか?自分のブラックベリーでさえ妻に管理させてるなんて、ほんとありえないよ。この21世紀にもなってメール一つも自分で打てないというのは、ほんと理解に苦しむよ。だって、あんだけ頭のいい軍人が、メールすらも打てないなんて、ありえない。だってあいつパイロットだったんだぜ。戦闘機のような複雑なシステムを操縦してたぐらいだからテクノロジーはめちゃめちゃ得意なはずじゃん。それがメールさえ打てないなんて、どうかしてるよ。猿にだってメールぐらいは打てる。ブッシュでさえコンピューターサビーなんだぜ。マッケインは、ブッシュよりも駄目ってことだよ。あいつは、ぜんぶ自分の年齢を言い訳にして新しいものを習うのを拒絶してるんだよ。つまり新しいものを習う意志がないんだよ。やる気がないんだよ。あいつは、自分で変革を止めてるんだよ。この変化の激しい時代に自分を合わせられないなんて、もう政治家にも向いてないんじゃないかなぁ?ほんとマッケインのような新しいことに自分を適応させる気のないメンタリティーを持った人が大統領になるのは、言語道断でしょう。そういうやる気のない老人は、さっさとワシントンから消え去るべきだよ。だから、オバマじゃなきゃ駄目なんだよ。オバマは若いし、フレッシュだし、自分たちと同じ道を通過してるし、オレたちに完璧にコネクトしてるよなぁ」
私は爆笑しながら、彼の意見に賛同しました。若者にそれまでコネクトする政治家がいなかったんですね。でも、オバマという指導者は、マイノリティーだし、多文化だし、今のアメリカの若い世代が理想とする人ですからね。郊外の白人の若い世代は、マイノリティー文化にとても憧れてますから、それに未来のアメリカ人は白人も黒人もアジア人もすべての人種がミックスしてオリーブ色の肌になるというビジョンを持ってますからね。つまり、ブラジル人のような、多文化人になるんです。それがオバマなんです。

で、色んな人と握手して会話してるなかで、UCLAの教授もヴォランティアとして参加してました。彼は、白髪まじりのハゲで、知的なメガネをかけた感じのいいおじさんでした。
「おぉ、大学教授も」
と思いました。彼は、私に、
「君ははじめっからオバマ支持だったのかね?」
と尋ねてきました。
「いいえ、私はもともとはクシニッチ支持だったんですが、ご存知の通り、スーパー火曜日の前に、クシニッチは予備選挙を辞退してしまったので、投票できませんでした」
彼は、
「ほぉ、クシニッチか?彼はいつも素晴らしい政策を提案するからね。そういえば、彼がUCLAにキャンペーンしにきたのを覚えているよ。たしか、クシニッチは自分のキャンペーンのバスでUCLAに来たんだが、彼の周りにはボディーガードはなく、丸腰でバスから降りて来たんだよ。しかも、人がぜんぜん集まらなかったし、とても見てて悲しかったよ。オバマだったら、もうすごいスタッフとボディーガードをつけていて、しかも、キャンパスは満員になるんだけど、クシニッチの場合は、スタッフも少ないし、ボディーガードもないし、しかも学生がそんなに集まらなかったのが痛々しかったね」
と言いました。
「へぇ、そうなんですか?だってUCLAってアメリカのなかでも、きってのリベラルなキャンパスとして有名なのに、それでも民主党ではもっともリベラルなクシニッチのイベントに人が集まらなかったんですか?」
「集まらなかったねぇ。リベラルなキャンパスでも、それだけ人が集まらなかったってことは、やはり辞退せざるを得なかったんだろうね。今回の選挙は、とにかく最初っからオバマとヒラリーで盛り上がってしまって、クシニッチの入る余地はまったくなかったからね」
なるほど、もっともリベラルな大学のキャンパスでさえクシニッチのレセプションはそうだったんですね。とても残念です。変革の力はすべてオバマに集結したんですね。そうですね、オバマは、若いですし、またオバマは精神的政治的な新しいアメリカの預言者としても承認されてますからね。こちらの記事でも、こう言ってますね:
In listening to him speak, you can easily imagine Obama as a new world prophet forecasting a spiritual and political awakening.
彼の演説を聞くと、オバマが精神的そして政治的な覚醒を予兆する新しい世界の預言者だということが容易に想像できよう。

オバマの運動はアメリカの新たなグレート・アウェイクニングになると言われてますからね。

***


さて、セレモニーが終わって、6000人もの新市民がぞろぞろと出てきました。私もオバマ08のバッチをつけて、用意しました。すごい人人人で、テーブルは新市民で埋め尽くされ、忙しかったです。次から次ヘと選挙に登録していきました。で、セレモニーが終わってだいたい2時間ぐらいで、人はいなくなりました。で、登録作業も終わったんで、私は、またヴォランティアの人たちと会話しました。

***


また、ヴォランティアで10代前半の娘を連れて来ている母親もいました。彼女は、群青色のオバマTシャツを誇らしげに着ていました。この母親は、多分30代後半か40代前半だと思われますが、また、化粧が濃いので、よくわかりませんでした。でも、褐色の肌で、ツヤツヤした長い黒髪で、ラテン系だと思いました。でも、ラテン系でも、南米のような腰のくびれはなかったですし、背も低かったです。体全体としては痩せてますが、お腹がちょっと出ている。まぁ、健康にはかわらないですが、さすがに40代になると、お腹とお尻がドテッとしてくるのは、しょうがないです。老化ですから。ちゃんとエクササイズはしてる体ですし、とても健康的ですが、そこはやっぱコントロールできないですね。でも、70%が体重オーバーといわれるアメリカ人のなかでは、素晴らしいですよ。容姿は、綺麗なほうでしたよ。まぁ、20代のときは、めちゃくちゃモテたのではないでしょうか?まぁ、今はどこにでもいる普通のおばさんでしたけどね。でも、娘は・・・、悲しいことに太ってましたね。母親よりも背が高いのはいいんですが、かなり体重オーバーしてました。アメリカ病にかかってしまったのが、とても痛々しかったです。子供が健康体でないというのは、残念です。まっ、今はカリスマ性があってカッコいいオバマでも子供のときは太ってたので、大人になったら娘さんもシェイプアップして綺麗になるかもしれませんね。

それはさておき、で、この母親も、私に興味をもったのか、話しかけてきました。でも、彼女はなにを思ったのか、すごい至近距離で話しかけて来たんで、
なんなんだ、この人は!
と思いましたよ。いやぁ、だってあれは恋人の距離じゃないですか。こちらの図でもわかる通り(『恋愛心理学』p121より)。
HumanSpace.jpg

ちょっと頭が真っ白になったんで、どうしてオバマ支持になったのかという質問にちゃんと答えることができませんでした。自分の言っていることがわからない、支離滅裂になってしまったんです。で、彼女は、私がバイリンガルであることを把握したようで、多分、私の文法がメチャクチャになったのを、
「ああ、ちゃんと自分を表現できないのは、彼にとって英語はセカンドラングエージだから」
と思ったんでしょうね。いや、私は言語の複雑さに立ち往生したんじゃなくて、彼女のその至近距離の会話の前に立ち往生しちゃったんです。さっきまでちゃんと会話してたんですから。でも、正気を取り戻すために、間合いを取ったら、彼女を嫌がってるというように勘違いされかねない。だから、距離はそのままにしました。だって、キスできる距離ですよ〜。頭が混乱するに決まってるじゃないですか!まさか、彼女のその距離の詰め方に私が動揺してるとは想像もできなかったんでしょうね。だから、彼女は何事もなかったかのように自然に話してましたよ。
「バイリンガルって素晴らしいですよね。あたしもバイリンガルになりたかったんですよ。でも、あたしの母親は、まったくスペイン語を教えてくれませんでしたから、とても後悔してます」
「そうなんですか?母親はどこ出身なんですか?」
「あたしの母は、メキシコ出身で、15のときにアメリカに移民してきました。あたしの父親もメキシカンですけど、父はアメリカで生まれ育ったので、アメリカ人ですね。だから、あたしはメキシカン・アメリカンなんだけど、今のメキシカン・アメリカンとは違って、スペイン語は話せないわ」
「へぇ、どうしてまた母はスペイン語を教えなかったんですか?」
「あたしが生まれたときのアメリカは、まだ多文化主義を抱き込んでなかったから、あたしを徹底的にアメリカ人として育てるためにスペイン語を教えなかったんです。でも、今のアメリカはやっと多文化主義を抱擁するようになって、メキシカン・アメリカンはスペイン語を話せるのが当たり前ですからね」
「そういえば、オバマも言ってましたよね。『アメリカの子供たちにちゃんとスペイン語を話せるように教育しなきゃいけない』って」
「そう、スペイン語だけじゃなくて、とにかく他の言語を話せるように教育しないといけないという彼のスタンスに賛成ですね」
「それにオバマは、人種的にも交じってるし、マイノリティーにとっては力強いですよね」
「そう、彼は世界のどこにでもいるような感じですからね。だって、オバマの妹はあなたと同じアジア系ですもんね」
「そうそう!オバマにはインドネシア人の妹がいますもんね。だって、オバマは親戚の集まりのときは、小さな国連だって言ってますからね」
「そう、そうですよね。オバマも、インドネシア語を話せるし、素晴らしいですよね。それに、今の時代、他言語を話せなかったらビジネスとかできないですからね。あたしも前働いていたところで、やっぱバイリンガルな人が強かったですからね」
「へぇ、そうなんですか?私も最近、本格的にスペイン語のクラスを取って勉強しようかぁと思ってるんです」
「そうなんですか?あたしは、今はキャリアチェンジの真っ最中で、オンラインでクラスを取ってるんですよ。オンラインだと、スケジュールをわざわざ変更しなくとも、勉強できるし、それに交通渋滞と関わることもないし。また、大学も20代だったらいいけど、あたしは20代じゃないし、オンラインのほうが安心して勉強できる環境だわ」
「あぁ、なるほど、そうですね、たしかにキャンパスのパーキングを探すだけでも、時間と労力を無駄にしてますからね」
いやぁ、でも、彼女はとんとん拍子で会話をしますね。で、私は、どうしてオバマ支持になったのか、彼女に尋ねました。
「やはりワシントンに変化を求めてるからです。とにかくブッシュの最初の年からもう駄目でしたね。イラク戦争は、嘘によって始められたし、あれほど嘘がまかり通った政権はなかったと思います。それにブッシュによって、アメリカは世界からとことん嫌われてしまったし。国際的信用を失ってしまったんです」
「あぁ、そうなんですか?」
「そうですよ!これほどまでに、世界から嫌われたことってありますか?やはりオバマに変わらない限り、国際関係は修復できないと思いますよ」
「そうですよね。オバマは、彼自身が世界的人間だから、世界の信頼を取り戻せるんじゃないでしょうか?」
いやぁ、でも情熱を持って語る彼女の目は、綺麗でした。しかも、かなりの至近距離だったので、彼女がコンタクトをしてることさえわかりました。それにしても、彼女の瞳は大きいんですね。コンタクトレンズも大きいですからね、かわいく見えます。って、何を言ってるんだ、私は。相手はおばさんじゃないか。で、至近距離だと、化粧もわかりますが、口紅がダークな赤紫的なもので、でも、それが褐色の肌にピッタリと合うんですね。唇にも見とれちゃって、「はっ!」と我に返りました。ようやく正気を戻したときに、彼女は、
「国民皆保険もほんとアメリカ国民には必要ですよ」
と言いました。
「たしかに、それは私も大賛成ですよ。だって、4千3百万人のアメリカ人が医療保険がないんですよ。それはどう考えてもおかしいですよ」
「そう、それに、先進国のなかで唯一ユニバーサルな国民医療保険がないのは、おかしいですよ」
「ほんと、世界でもっとも豊な国なのに、ユニバーサルな医療保険がないのは、間違ってますよね」
でも、会話しているうちに、私の感情はいつの間にか変なふうになっていきました。なにか摩訶不思議でミステリアスな。こんなに女性と会話がはずんだのは久しぶりでした。やばい、なんか彼女がとてつもなく魅力的に感じてきたんです。この感情、まるで、異性に対するアタッチメントを求めるような感情、そう、これは恋だ!私は、この感情を悟った瞬間、怖くなりました。恐ろしくなったんです。子持ちの人妻女性、そんなのに恋をしたら破滅するからです。若きヴェルテルのように最後は自殺してしまいます。私も既婚女性に恋をして死にそうになった経験があるので、だから、恐怖心が私を覆いました。よって私は、反射的に彼女との距離を取りました。で、携帯の時計を見ながら、
「あのー、もうそろそろ私は行かないと。あなたとお話できて、とても楽しかったです」
距離を取っての彼女の姿も、また魅力的に見えてしまいました。その時、自分の顔が熱くなってるのがわかりました。彼女も、
「こちらこそ。こんど、来週の土曜日にカンプトンでオバマのオフィスのオープニングセレモニーがあるんで、もしよかったら、そこで会いましょう」
と笑顔で言いました。
「あぁはは、じゃぁ、そのとき、また」
と簡単に承諾して握手してしまいました。いやぁ、すべすべしてましたね。とても40代とは思えない手の柔らかさ。「おばさん」というカテゴリーに彼女は当てはまりませんね。で、私は、逃げるようにして、イベントマネージャーに挨拶して、コンベンションセンターを後にしました。

車に乗った後も、あのメキシカン・アメリカン女性のことが忘れられません。だって、あんな至近距離で、しかもフレンドリーに話されたら、やっぱり魅了されてしまいますよ。うっとりせずにはいられない。彼女は民主党員ですけど、それでもメインストリームの民主党よりもリベラルですからね。それに政治的立場はまったく同じだし、価値観も共有しているし、類似度もすごく高いし、まぁ、最初っから話題の共通性があったとうのもありますが、それで親近感がはじめっからあってあんだけ至近距離で話して来たのかもしれませんね。あの距離を詰められたことで、クラって来ましたね。それで思考回路が停止しちゃった・・。でも、やっぱり一番惚れそうになったところは、熱意を持って私と会話してくれたところ、それが一番良かったですね。なんか自分が承認されたようで、自信がつきます。でも、まさか好きにはならないだろうと思う女性を好きになるなんて・・。私は、ほんと恋に落ちやすい体質なんでしょうか?きっとロマンチストなんでしょう。スティービー・ワンダーもそうですね。キモヲタもロマンチストなんですよ。

***


いやぁ、でも民主党のイベントに参加して感じたことは、党員だと情報にアクセスできるということですね。それだけ、細かい情報まで伝わっているんです。やっぱり無党派では、政治的情報は来ないですもん。やっぱり政党に属して得するのは、その情報力にアクセスできるからです。よく細かいところまで、色々なことを知ってますよ、党員は。まぁ、でも、選挙を決定するのは、党員ではなくて、無党派層ですからね。日本では、小泉純一郎のブレーンはそのような選挙人を「B層」と見下していましたが、アメリカでは、オバマは私たちの語ることを聞いてくれますね。だって、オバマをサポートする民主党員たちは、私にどうしてオバマ支持になったかという理由を尋ねて来たんですから。やっぱ政治は一般市民の言うことを聞かなければ、デモクラシーではないでしょう。今まで政治は私たちの声にまったく耳を傾けて来なかったんですから。

たまに、私たちに向かって暴言を吐く通り魔もいましたね。
「オレはヒラリーに投票したんだ。オバマなんかクソ食らえだ!」
と私たちを罵る人もいました。まぁ、私もヒラリーを応援してたんで、彼らの気持ちは痛いほどわかりますよ。彼女に投票はしませんでしたが、ジェンダーのガラスの天井を打ち砕く力を応援してたんです。それにカリフォルニアはヒスパニックが多いですし、ヒスパニックはヒラリー支持が多かったですし、カリフォルニアでは、ヒラリーが勝利したわけですし。でも、民主党の予備選挙でオバマが勝利したわけだし、今回はヒラリーが大統領に成るチャンスはなくなったわけですから、私も現実的にオバマを応援してるんです。それ以来、私は、三次元の改革をすべてオバマに託したわけです。

で、このセレモニーは、ウィリー・コロンとルーベン・ブレイズの『ペドロ・ナバハ』の「I like to live in America 」というフレーズを思い起こさせました。その曲を車のなかで聴きながら110番を運転して帰宅しました。そして、サルサの音楽に合わせてリズムを取り、彼女のことを想像してました。いやぁ、危機一髪でしたよ。あれだけ性格がよくて、フレンドリーで、情熱を持っていて、綺麗で、ラテンで、あぁ、危ない危ない。破滅を回避してよかったです。

ペドロ・ナバハは、ニューヨークのチンピラかヤクザで、道端で歩いてる娼婦をターゲットにして金をひったくろうしてナイフで襲います。で、娼婦は拳銃で防衛しますが、ナイフが急所を刺してしまいます。で、ペドロも銃弾をあびて、道端に倒れます。そして、両者とも道端に倒れ、死んでしまいます。で、酔っぱらいのホームレスに死体として発見され、お金とナイフと拳銃をかっさらっていきます。で、ホームレスは酔いながら、「人生とは驚きの連続だ、神よ」と音痴ながら歌います。とても壮絶な歌詞の内容です。そんなニューヨーク社会にヒスパニックはみんな移民してきたんです。サルサ音楽というのは、そういうのが日常なところで生まれたんですね。

でも、オバマはなんとか変えてくれるでしょう。彼はシカゴで、貧困層の救済活動をずっとやってきたんですから。私も選挙登録活動に協力することによって、この小さなコミュニティー活動への奉仕によって、なんとか社会が良い方向に変わってくれればいいです。そしてその変革のシンボルがオバマであらんことを。

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【2008/07/13 04:30】 | 政治
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選挙本部での再会も
pfaelzerwein
またまた貴重なレポ−トを拝読しました。選挙本部での再会も読みたくなります。

それにしても20代の女性の誘いを振り払えても、抗する事の出来ないロッテの魅力は恐ろしいですね。

因みにリンクの距離感は日本のそれでしょうが、文化圏による距離差はよく話題になります。私はリンクの半分から七割程度を計りますが、人によってはもっと狭い人もいます。

オバマの家族写真は初めて見ました。

困惑と緊張
ヘルメス
最悪、夫を連れてくるかもしれませんし、その頃には私の感情も治まってるかもしれませんが、今の状態で選挙本部に行くのは緊張してしまいます。

そうなんですよ!ロッテにはビッチの要素が完全に抜け落ちてますからね。その魔性の魅惑には無防備すぎました。

ラテンは距離はわりと近いですが、初対面であのような至近距離は初めてだったので、困惑してしまいました・・・。


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選挙本部での再会も
またまた貴重なレポ−トを拝読しました。選挙本部での再会も読みたくなります。

それにしても20代の女性の誘いを振り払えても、抗する事の出来ないロッテの魅力は恐ろしいですね。

因みにリンクの距離感は日本のそれでしょうが、文化圏による距離差はよく話題になります。私はリンクの半分から七割程度を計りますが、人によってはもっと狭い人もいます。

オバマの家族写真は初めて見ました。
2008/07/13(Sun) 14:03 | URL  | pfaelzerwein #Lmt/SlSs[ 編集]
困惑と緊張
最悪、夫を連れてくるかもしれませんし、その頃には私の感情も治まってるかもしれませんが、今の状態で選挙本部に行くのは緊張してしまいます。

そうなんですよ!ロッテにはビッチの要素が完全に抜け落ちてますからね。その魔性の魅惑には無防備すぎました。

ラテンは距離はわりと近いですが、初対面であのような至近距離は初めてだったので、困惑してしまいました・・・。
2008/07/14(Mon) 05:42 | URL  | ヘルメス #-[ 編集]
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