![]() | The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream (Three Rivers Press) (2007/11/06) Barack Obama 商品詳細を見る |
バラク・オバマの本を読みました。とても面白かったです。ところどころ笑いながら読んでました。いやー、さすがは、Everyman(スーパーヒーローではない一般人の主人公)のイメージを出してますね。以前、2004年の大統領選の時、ジョン・ケリー元民主党候補の本を読んだんですが、あれは超つまらなかった。まるでNHKスペシャルを見てるようなつまらなさでしたよ。医療保険の政策とか詳しく書いてありましたが、やっぱりちょっと頭がいいような書き方をしてました。生真面目過ぎてユーモアに欠け、人間味に欠けてました。ゴアもケリーもインテリなんですが、ブッシュのエリート意識を感じさせない人間味と、Everymanの感覚には欠けてました。ブッシュは、インテリゲンツァを
「あれは私の性質には合わない」
と言ってましたからね。ブッシュもイェール・ハーバードを出てるエリートですけどね。ハーバードを出てる人がハーバードを嫌う、なにか東大出の政治家が、政界と官僚の最大学閥である東大を批判して票を得るような感じですね。自民党総裁の小泉が自民党をブッ潰すと街宣車から叫んで、自民党を嫌悪してる大衆の支持を得るようなもんですね。で、ブッシュも小泉も、インテリの臭いを消して、人間味のあるユーモアで演説しますからね。とくに、小泉は、色々なパフォーマンスもやって、面白かったです。それに比べると、やはりジョン・ケリーはつまらなかった。
それで、オバマの本もはじめはつまらないのだろうと思ってました。なにせ政治に関する本ですから。つまらないだろうし、また難しい話と思いきや、いざ読んでみると、これが面白い。また、文体がとてもシンプルで、大学教授が使うような難解で知的な語彙もなく、文法もシンプルで、スラスラと読めました。そう、文体が口語的で、まるでオバマがパソコンを使って話しているような、文語よりも口語に近いアメリカ英語でした。そうですね、まるでブログでも読んでいるような。ブログも、文章は口語形式ですからね。あれは、会話の延長線上にあるような、独白のようなものですから。彼は文筆家というより演説家ですから、この本も演説的なのかもしれません。とてもスムーズでした。学者というのは、ついつい知識階級意識から、日常会話では耳にしない複雑な表現とか、大きな語彙を鏤めて、論文なんかを書きますから、それで読者としては結局内容がわからずに終わってしまうケースが多いのです。まるで、坊主がサンスクリット語でお経を唱えて、こっちは何を言ってるかわからないから、お経がありがたく聴こえてしまうようなものですね。オバマもハーバード大学を出ている法学博士ですし、知的エリートですが、彼の文章には、まったくそういうインテリゲンツィアな雰囲気はありません。それをあえて抑えて、シンプルにして、Everymanのイメージ作りに徹しているのでしょう。だから、彼の本は、ラテン語の聖書やアラブ語のコーランのようなありがたさはなく、とても大衆的なんですね。とてもシンプルに書いてありました。これだったら、アメリカの小学生でもなんなく理解できる文章だと思います。
まっ、逆に複雑な表現を知っているからこそ、あんだけシンプルな文章が書けるんでしょうね。ボサノバのギターの伴奏はいたってシンプルですが、本場のボサノバ・ギタリストは複雑なサンバというリズムを知っているからこそ、シンプルでもあそこまで味が出せるんでしょうね。つまり何がシンプルかを知っているのです。それで、あんな単純な伴奏でも、すっごくサウダージを感じちゃうんですよ。それと同じで、オバマも本を大衆向けといいますか、「人を見て法を説け」とでもいいますか、とてもわかりやすい文章で書いたんでしょうね。私のような思考回路が単純な大衆には、一番読みやすいのです(まっ、厳密には私は大衆にも属さず、そのもう一段下のサブのキモヲタですが…)。たぶん、政治学者が読んだら、
「あまりにも問題を単純化しすぎてる」
と批判するかもしれませんが、学者向けの本ではありませんからね。私向けに書かれてるんです。小泉の演説も、私にはもっともわかりやすかった。あそこまでわかりやすい政治家はいませんでしたから。彼も大衆の政治家だったのです。だから、彼はアメリカ型だったのでしょう。オバマも小泉も、大衆にメッセージを伝えるのはとても上手だと思います。
また、オバマの小さい頃のインドネシアの生活とか、白人のシングルマザーの子供として育てられたこととか、借金して授業料を払ったこととか、初めて選挙に出馬したときの支援団体との関係を築くのに苦戦したかとか、選挙で負けた体験とか、どうやって妻を口説いたかとか、家族として、二人の娘の父親としてのオバマとか、人間オバマとしての部分がとてもわかりましたよ。それは、みんな自分の生活と関連づけることができますからね。では、まず、一番おもしろかったものを抜粋しましょう!
yet no matter how much you tell yourself differently-no matter how convincingly you attribute the loss to bad timing or bad luck or lack of money-it's impossible not to feel at some level as if you have been personally repudiated by the entire community, that you don't quite have what it takes, and that everywhere you go the word "loser" is flashing through people's minds. They're the sorts of feelings that most people haven't experienced since high school, when the girl you'd been pining over dismissed you with a joke in front of her friends, or you missed a pair of free throws with the big game on the line-the kinds of feelings that most adults wisely organized their lives to avoid. (p107)
でも、どれだけ自分自身に違うように言い聞かせても、どれだけ自分の敗北の原因がタイミングの悪さ、運のなさ、資金のなさに帰結して納得できたとしても、ある特定のレベルで個人的にまるで自分が全コミュニティーに拒絶されたかのように感じないことは不可能であり、自分に器量が全くないという、また行くところどこでも人々の心には「負け犬」という言葉がチラついているという。それらは、ほとんどの人が高校以来経験してない類いの感情であり、自分のずっと気になってる娘に友だちの目の前でジョークとしか扱われずにあっけなくふられてしまうような、それか、大きな大会が目前にある試合でフリースローを失敗するかのような、ほとんどの大人たちがしたたかに生活をうまくオルガナイズして避けてきたこれらの感情。
そうかぁ!選挙に負けたときの心境は、学園で女の子にふられたときのショックのようなものなんですね!なるへそ〜。もちろん、1994年W杯決勝のバッジョのPK失敗のショックもわかりますが、自分にもっともピンと来たのは、やはりふられたときの衝撃。自分の好きな娘にふられたときのショックほどひどいものはない。それで、どうしても自分が全コミュニティーに、というか全世界に拒絶されたように感じちゃうこと。まるで日本全土に拒絶されるような。ああ、だから、私も日本を捨てたんですよ。キモヲタとして体育会系・DQNに洗脳された女の子たちにふられた上に、「キモイ」と言って相手にもされてなかったこと…。
「ねぇねぇ、きいてよ、きいてよ。あのキモオタ、あたしにコクってきたんだよ」
「えー、うっそー?気持ち悪ーい!最悪じゃん」
「自分の立場をわきまえろっちゅーの!」
ああ、彼女らの会話はもう十数年という歳月が経とうとも、鮮明に覚えている。この忌々しい記憶をぬぐい去ることは出来ない。オバマは、好きな娘にジョークとしてしか扱われなかったそうですけど、私なんか、ジョーク以下、そう、虫けら以下でしたからね。そんな彼女らが絶賛するのは、クラスの体育会系でした。完全に洗脳されてたんです。だから体育会系に毒されている国自体を捨てて、渡米したんです。そうですよ、やはり好きな娘にふられることは、そこまでショックなことなんですよね〜。痛いほどわかります。私も渡米しなければ、そのショックから立ち直ることは出来なかったんですから。ほんとふられたときは「世界の破滅だ!」と思い、窓から飛び降りようと思ったぐらいですからね。私も飛び降り自殺して、で、実際に飛び降りたらアメリカ行きの飛行機に乗っかって、渡米したんですけどね。選挙に負けたきの心境は、それに匹敵するぐらいショックなことなんですね。でも、オバマはよく選挙に負けてカナダに逃亡しなかったですよね。まっ、連邦下院議会の選挙に負けても、イリノイ州議員でしたからね。総選挙で負けても州議員としての立場は確保されてたんです。なにもかも失うっていうことはなかったですから。私は、なにもかも失って、それでもう失うものはないとして、思い切って渡米したんです。
"People who are hungry, people who are out of a job are the stuff of which dictatorships are made."(p155)
独裁政治というのは、失業して飢えている人民によって作られる。
これは、ルーズベルト大統領からの引用ですけど、やはりその通りですね。オバマも、失業によるフラストレーションから、人々は銃と宗教と排他主義にすがりつくと言ってますからね。まっ、私の場合は、Kimowotas who are out of love are the stuff of which Moe-ships are made.(萌えシップというのは、愛情に欠けてるキモヲタによって作られる)ですね。
Should we go with Leviticus, which suggests that slavery is all right and eating shellfish is an abomination? How about Deuteronomy, which suggest stoning your child if he strays from the faith? Or should we just stick to the Sermon on the Mount-a passage so radical that it's doubtful that our Defense Department would survive its application?(p218)
奴隷制が大丈夫で、エビ・カニ類を食べることが嫌悪であることを提案してるレビ記を適応しようか?もし自分の子供が信仰から脱落したら石打の刑に処すことを提案する申命記ならどうだろうか?それか、文節がとても過激な山上の垂訓にでも帰依しようかーはたして国防総省がその教えの応用に生き残れるかどうか?
そう、聖書をアメリカ社会に適応することは非現実的なのです。もしそのまま適応するとイスラム諸国のような人権蹂躙社会となってしまいます。また、ナザレのイエスの山上の垂訓も、戦争を完全否定するもの。国防総省がなくなったら、世界帝国アメリカは崩壊します。ということは、山上の垂訓が適応されてる憲法といえば、日本ですね。第9条です。日本国憲法第9条はキリスト教の至高の教義を体現したようなものですね。GHQ草案を書いた軍人はキリスト教徒でしたからね。しかも自分の国じゃないですから、そういう非現実的なことを適応させてしまったのです。もし自分の国に適応してるんだったら、自分は軍人にもなれないんですからね。GHQ自体が、キリスト教に抵触しますからね。だからオバマが大統領になっても、しっかりと政教分離の原則を守ってくれるので、安心です。
でも、オバマは、ラッキーですね。もちろん実力もありますが、なによりも強運ですね。連邦上院議会は、その90%以上の現職議員が選挙に勝つそうで、入れ替わりはとても少ないです。つまり現職議員に勝てる確立は皆無に等しい。でも、オバマが立候補したときは、現職議員が次の選挙に出なかったので、まぁ、いわゆる補欠選挙みたいなもので、立候補して受かったのです。つまり現職議員が次の選挙を辞退しなければ、連邦議員にはなれてなかったんです。大統領候補としての必要な知名度も獲得できなかったと思います。ほんと、アメリカの政治は硬直してます。平気で議員を20年以上やってる人とかいますからね。今にもくたばりそうなジジイとかがいますからね、最近倒れたケネディーがその最悪な例です。ほんとにそんな人に政治を任せていいのか?6年間の任期の意味がない。まるで終身じゃないですか。中曽根じゃあるまいし。それは大問題です。でも、そんな可能性の少ないところから、ここまで這い上がって来たのですから、ぜひとも、オバマには頑張って大統領になってもらいたいですね。
いやぁ、でもこの本は良かった。シンプルでわかりやすくて、さらにユーモアが入っていて面白かったというのがやはり良かったですね。そう、スムーズだったんです。
では、オレゴンの集会のときのビデオのリンクを。すごい人です。また、プエルト・リコでのオバマダンスの映像も。サルサは、NYのプエルト・リカンの作った音楽ですからね。カリブ海の音楽でダンスは、多文化のオバマにはまさにピッタリですね。ラテンはダンス文化ですから、オバマダンスは受けが良かったと思います。スペイン語で演説してましたし。また、エレン・ショーでも、ダンスしてました。とてもスムーズな動きですね。これからの大統領候補はダンスできないと駄目なんですね。鍵はスムーズさですね。いやはや、ニーチェは哲学はダンスだと言いましたが、政治もダンスになってきたんですね!
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面白そうな本ですね
Lemon.fr >逆に複雑な表現を知っているからこそ、あんだけシンプルな文章が書けるんでしょうね
その通りだと思います。 政治家の書いた本というのは、今まで敬遠していたのですが、これは面白そうなので、仏語訳が出てるかどうか、探してみます(日本語の本は高価なので・・・)
お久しぶりです
ヘルメス Lemon.frさん、どうもご無沙汰しております。
そうですね、英語と仏語は近いので、日本語よりは、原文に近く訳されてると存じ上げます。アメリカではオバマの評価はいたってポジティブです。フランスでは、オバマの評価はどうなのでしょうか?
Lemon.fr フランスでは、オバマさんは、とても人気がありますよ。 かなりのフランス人はオバマさんを応援しているみたいです。
Lemon.fr >逆に複雑な表現を知っているからこそ、あんだけシンプルな文章が書けるんでしょうね
その通りだと思います。 政治家の書いた本というのは、今まで敬遠していたのですが、これは面白そうなので、仏語訳が出てるかどうか、探してみます(日本語の本は高価なので・・・)
お久しぶりです
ヘルメス Lemon.frさん、どうもご無沙汰しております。
そうですね、英語と仏語は近いので、日本語よりは、原文に近く訳されてると存じ上げます。アメリカではオバマの評価はいたってポジティブです。フランスでは、オバマの評価はどうなのでしょうか?
Lemon.fr フランスでは、オバマさんは、とても人気がありますよ。 かなりのフランス人はオバマさんを応援しているみたいです。
この記事へのコメント
>逆に複雑な表現を知っているからこそ、あんだけシンプルな文章が書けるんでしょうね
その通りだと思います。 政治家の書いた本というのは、今まで敬遠していたのですが、これは面白そうなので、仏語訳が出てるかどうか、探してみます(日本語の本は高価なので・・・)
その通りだと思います。 政治家の書いた本というのは、今まで敬遠していたのですが、これは面白そうなので、仏語訳が出てるかどうか、探してみます(日本語の本は高価なので・・・)
2008/06/02(Mon) 00:01 | URL | Lemon.fr #SMThlAj2[ 編集]
Lemon.frさん、どうもご無沙汰しております。
そうですね、英語と仏語は近いので、日本語よりは、原文に近く訳されてると存じ上げます。アメリカではオバマの評価はいたってポジティブです。フランスでは、オバマの評価はどうなのでしょうか?
そうですね、英語と仏語は近いので、日本語よりは、原文に近く訳されてると存じ上げます。アメリカではオバマの評価はいたってポジティブです。フランスでは、オバマの評価はどうなのでしょうか?
フランスでは、オバマさんは、とても人気がありますよ。 かなりのフランス人はオバマさんを応援しているみたいです。
2008/06/09(Mon) 01:56 | URL | Lemon.fr #SMThlAj2[ 編集]
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